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さまよう刃
さまよう刃
さまよう刃
東野 圭吾

出版社 / 著者からの内容紹介
蹂躙され殺された娘の復讐のため、父は犯人の一人を殺害し逃亡する。「遺族による復讐殺人」としてマスコミも大きく取り上げる。遺族に裁く権利はあるのか? 社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は!?


試験直前だというのに1日でざっくり読み切ってしまいました。
主人公である長峰に一度でも共感を覚えてしまったら、物語のラストまでページを捲る手が止まらなくなる。

物語自体は「復讐」という小説的には単純なものを扱っているのだけれども、それに登場人物達の感情が入り混じることで深みが出ている。
特に犯罪被害者の家族の慟哭には涙が出て止まらない。
自分の大事な娘が犬畜生共に犯され殺されていく映像を見て、絶望と殺意でぐちゃぐちゃに壊れていく父親の姿を見ると、酷く堪らない気持ちにさせられる。
自分が大事な人を失ったときの事を思わず想像してしまう。
自分はどんな風に泣くのだろうとか、物に当り散らして喚き飛ばすだとか、打ちひしがれて呆然としているだとか、想像もできないことを想像してしまう。
私は東野圭吾さんの作品は「悪意」しか読んだ事がなく、「悪意」では登場人物の感情を酷く他人行儀に書く方だなと思ったのですが、この「さまよう刃」では感情を前面にモロに押し出されたもので、感情移入せずにはいられませんでした。
普通の小説では珍しいぐらい感情的で主観的な文章です。
そういったところに非常に好印象が持てました。

しかし、この物語の終幕のつけ方には結局納得できませんでした。
「どんな理由があっても悪いことは悪いんだよ。裁かれなくてはならないんだよ」と杓子定規な考え方を突き付けられたよう。
ならば、少女を犯した男に対する裁きとは何か。
逃げる未成年の犯罪者を庇うのが正義なのか。
その犯罪者を追い駆ける、犯罪者になってしまった被害者遺族を追い詰めるのが正義なのか。
裁かれるはずの犯罪者が守られ、被害者や被害者遺族が泣き寝入りするしかない法律の不条理さに憤りを感じました。

そして、法律などで人間の心を推し量れるわけがないと最終的には私はそう感じました。
「法律は人間の弱さを理解していない」と物語中で主人公である長峰が言いますが、まさしく其の通りかと。
ならば、復讐に走らざるをえなかった人間の弱さは一体誰が理解し、救いを与えてくれるのでしょうか。
法律は本当に人間を救ってくれているのでしょうか。

ミステリな部分も最後にちょっとだけ含んでいるのですが、ミステリとして読んでいると肩透かしを食らいます。
社会的な問題提示作として読むのが妥当ではないでしょうか。
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さまよう刃  8,8点
パッチギ ! スタンダード・エディション 販売元:ハピネット・ピクチャーズ発売
| 読書のススメ | 2006/03/03 9:49 PM |